恋する惑星

その時、僕と彼女の距離は0.1cm。2時間後、彼女は別の男に恋をした。

ハンバーガーショップを中心に展開する2つの恋愛オムニバス映画。

1つめは恋人にふられた刑事223号(金城武)が、電話で彼女にふられ、未練をひきずりながら長い夜を過ごす中、謎の金髪にサングラスの女(ブリジット・リン)と出会いプラトニックな一日を過ごすというもの。

金城武初主演の映画。未練を引きずっているところがいいですね。自分にけじめをつけるため、彼女の好きだったパイナップルの缶詰め30個を一夜にして食べ突くします。(そんなのできないと思うのですけど…)寂しさを紛らわすためあちこちの友人にハンバーガーショップから電話かけまくるのですが全て空振り。そんなときにバーで金髪女と出会います。この彼女、実は麻薬の運び屋であり自分のミスから組織に命を狙われています。ひっしで口説こうとする223号、”命を狙われてるのにそんな気分じゃないわ!”とばかりに相手にしない金髪女、気が付けばお互い肩にもたれて酔いつぶれてしまいます。…結局一夜限りの出合いで終わっちゃうんですけどね。このストーリーでは金城武はもちろん最後までサングラスをはずさなかったブリジット・リンが印象的でした。

2つめは香港の町中、ハンバーガーショップで働くちょと変わった女の子フェイ(フェイ・ウォン)キャビンアテンダントの彼女にふられたばかりの警官633号(トニー・レオン )との物語。

この話は…フェィのストーカー的な目立たない積極さが印象的です。元恋人のキャビンアテンダントがハンバーガーショップに633号をたずね、当日非番だったので手紙をフェィに託すのですが、ちゃかり読んじいますw。さよならメッセージと共に彼の部屋の鍵。633号が好きなのに”好き”といえないフェイ。仕入れを装って633号を待ち伏せしたり等の気持ちがエスカレートし、ついに昼間仕事をさぼって633号のアパートに忍び込み掃除、選択等の”隠れおしかけ恋人”に走ります。(自己満足ですね…)。しかし633号にばれてしまい、彼も彼女に気持ちに気付きデートに誘いますが彼女は以前から夢描いていたカリフォルニアにでてしまいます。果たして、最後は…。

とにかくフェイ・ウォンが”不思議少女”を醸し出してるのがいいですね。彼女の魅力が光ります。加えて、トニー・レオン、あれだけ部屋模様替えとかされてるのに全く気がつかないっていうのは..ね。あまりにも大ぼけすぎるんじゃないかと思うのですが。

監督は『欲望の翼ウォン・カーウァイ監督、この作品もかなり評価が高く95年香港電影金像奨(アカデミー賞)でグランプリを受賞したとか。けっこう都会的で不思議なカメラワークもお勧めです。

ビューティフル・マインド

”好きな形は?”

アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、助演女優賞(ジェニファー・コネリー)作品。心にある病と戦いながらもノーベル賞を受賞したケビン・ナッシュの物語。

数学者の卵、ケビン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)、学問に没頭するあまり周囲からは変人扱い。唯一の友達はルームメートのチャールズ(ポール・ベタニー)だけ。独自の理論を確立し一躍数学界のスターとなったナッシュはソ連の暗号文を解読したことで諜報員パーチャー(エド・ハリス)から極秘任務を受ける。危険な仕事から襲われるプレッシヤーに押しつぶされ精神を病んだナッシュは妻のアリシア(ジェニファー・コネリー)に支えられ再起をかける。

『感動』よりは何か考えさせられるタイプの映画。いろいろとコメントしたいのですがネタバレになってしまいそうです。特に予備知識なしで予告編程度の知識しかない人にとっては以外な展開(逆にこれで感動もの?と感じてしまうかも)。

一般に我々は人間関係、家庭、仕事といろいろなストレス、プレッシャーと対峙して生活しています。その要因の一つが自身の心の中での戦い。”もう一人の自分”というものをこの映画で意識させられました。

作品や監督の評価もさることながら主演のラッセル・クロウも好演!『グラディエーター 』とは全く違ったキャラクターを演じきりプライベートからは全く想像できないくらいの怪演ぶり!!助演女優賞を獲得したジェニファー・コネリーも(私にとってはひさびさですが)。うまく演技派に転向できたかな??という感じ。

内容からして堅い作品ですが唯一笑えた(??)のがナッシュがアリシアをパーティで口説いたシーン…。”好きな形は?”のシーンに思わずつっこみたくなりました。(でもそう思いながらもいい勉強になったりして(笑))

追撃者

あたらしいタイプのスタローン??

ラスベガスでギャングの下で借金の取り立てをしているジャック・カーター(シルベスター・スタローン)。彼の元に何年も前から連絡をとっていなかった弟の事故死の知らせが届く。弟の事故が飲酒運転と知りその死に疑問を抱くカーター。真相を究明すべく故郷に戻った彼だが、久々に帰ってきた彼に冷たい視線を向ける弟の妻グロリア(ミランダ・リチャードソン)。そして母親と同様な態度を取りながらもカーターに何かを訴えようとし、そしてカーターに人間としての安らぎを与えるドーリン。また、弟の謎の事故死に関わっているバーのオーナー、ブランビー、そしてカーターのかつての仕事仲間のサイラス(ミッキー・ローク)。事件の真相を知った時、カーターの償いと復讐の戦いが始まる…。

物語としてはストーリ展開が静かに感じられたためか盛り上がりにかけたような気がしますが、派手なカーチェイスもありよくまとまった作品かと思います。この映画は1971年イギリスの『狙撃者』のリメイクという事ですが、前作と違った主役のカーターを演出しようという事で”人間らしさ”にこだわったようです。

アカデミー賞受賞者でもあり『狙撃者』に出演しているマイケル・ケインは「私がカーターを演じたときには、マフィア言葉でいえば、マフィアの組合員になった男だった、大物の一人だった。今度のカーターは、それとは逆に、外側にいて中に入ろうと模索している。それに野蛮でもない。彼が闘っているのは結局、モラルにおいての問題である。スライ(=スタローン)が演じたカーターの方がずっとナイスなキャラクターだ」。と語っています。実際、スタローン自信も脚本をみて即OKしたとか。また、久々にミッキー・ロークが登場しています。サングラスを外した顔をみて一瞬”こんな顔だったけ??”って思たのは私だけでしょうか?”猫だましパンチ”で有名な彼と”ロッキー”のスタローンだけにボクシングスタイルの対決シーンもあります。

一番の見どころは落ち着いた展開から事件の真相を知り怒りの炎を燃やし復讐を開始した瞬間のカーター。圧倒的な迫力があり、『ランボー』とは違ったタイプのキャラクターを上手く演じきったスタローンの新しいスタイルの発掘かも…??

60セカンズ

”ぶっとべBABY!”

芸術的テクニックで、いかなる超高級車も60秒で強奪する伝説の男メンフィス(ニコラス・ケイジ)。だが彼は突然引退をし普通の生活を送っていた。しかし平穏に暮らす彼に巨大犯罪組織が“仕事”を依頼してくる。それは“仕事”に失敗した弟の命と引き換えに、“24時間で超高級車50台を盗む”こと。彼は常識では不可能な“仕事”のために、ハリウェル(ロバート・デュバル)や元恋人スウェイ(アンジェリーナ・ジョリー)ら凄腕のかつての仲間たちを集めた。だが、キャッスルベック(デルロイ・リンドー)率いる警察はそれを察知し、大捜査網の配備を開始する…。

バニシング IN 60”』のリメイク版。とにかく、カーチェイスがすごい!!『TAXi』がスピードを重視しているのに対してこちらはダイナミックさを意識しているというかやはりアメリカ映画、スケールが違います。中には盗みのテクニックを研究する為に見る人もいるかもしれませんが(笑)、そんなシーンの印象が消えてしまうくらいのあついカーアクションを堪能して下さい。

はっきりいってニコラス・ケイジの為だけの映画といってもいいくらいですけど、脇を固める豪華俳優人、ロバート・デュバルやアンジェリーナ・ジョリー等。メンフィスのキャラが強いので少しもったいない気もします。

一番の見どころは、タイムリミットギリギリで警察とカーチェイスしながらも目的地に向かうメンフィス。しかし行く先の橋の上では交通事故。その時、メンンフィスは…。というシーンでしょうが私的にはパトカーとヘリコプターの追跡をニトロを使ってぶっちぎるシーン!『マッドマックス』以来の加速感!まさしく痛快!これが本当の”ぶっとべBABY!”です。

オールウェイズ

個人的には”ゴースト”より好きなんです。

スティーブン・スピルバーグ監督のファンタジーなラブロマンス。森林消火隊のパイロット、ピート(リチャード・ドレイファス )は事故を起こし死亡。しかしながら彼には恋人のドリンダ(ホリー・ハンター)がおり、彼女に”愛してる”の一言をいえずに死んでしまう…。しかしその一言を告げるために幽霊?となって彼女の元に帰ってくるのだが…。

姿も見えなければ声も聞こえない、ではどうすればいいのか?恋人の死去にショックを受けるドリンダですがやがて新たな恋人候補が浮上してきます。気持ちも伝えられないのに、目の前で彼女を奪われようとするこのジレンマ!(もちろん幽霊ですが)。やがて彼は彼女の心に訴えようとしていきます…。ときどき”空耳”とか”誰かに何か言われたような気が…”みたいに感じることはありませんか?この映画はそういう感覚を”自分の心に訴えるもの”ととらえているように思います。ラストで自分の気持ちを告げることができそしていつまでも遠い空から彼女を見守りながらこの世?から消えていくピート、自分の心の中に常に、生き続けることを感じとるドリンダ、ほんと、しみじみと涙がでてきちゃいます。

当時、似たようなテーマで『ゴースト ニューヨークの幻』が話題になりましたが、私としては現実感があり、あくまピュアなストーリー展開なこの映画に共感を覚えます。スピルバーグ監督なのに『ゴースト ニューヨークの幻』に隠れてあまり私の周囲では評価されなかった作品。でもお勧めです!。ちなみにオードリー・ヘプバーンが妖精役で女優として最後の出演した作品でもあります。